~経験から得た教訓と「しくみアレンジ」開発の経緯~
「しくみアレンジ」の一つ一つの機能・アプリを作成する背景でどの様な状況であったのかを恥ずかしながら記載します。
助成金管理機能へ至る経緯、そして助成金対応業務を辞めた経緯
【 助成金申請代行と管理の難しさ 】
社労士業務において、助成金申請代行は顧客獲得に非常に有効です。しかし、管理をおろそかにすると、非常にストレスフルな業務となります。弊所でも当初から、助成金申請の管理には頭を悩ませてきました。しくみアレンジの開発もこの助成金申請管理の機能は、初期より開発を進めてまいりました。開発に至るまでの経緯=裏側を恥ずかしながらご紹介いたします。
【助成金申請を積極的に行っている社労士業の少なさ】
弊所は、初期の顧客獲得に非常に苦労していました。よくわからないオジサンに、手続きや給与計算を簡単に頼まないですよね。そんな中、助成金申請代行でうまく運営している社労士事務所様をみて、助成金申請代行をやってみようと思いました。当時、助成金を積極的にされている社労士事務所は 20%。積極的ではないが顧客からの要望に合わせて対応の事務所は 50%、残30%は助成金申請を行っていない印象でした。
【助成金申請に対する安易な考え】
いざ助成金対応をしようと例の雇用関係助成金の冊子を開き、読み進めました。「あら、条件にあうとと受給できるのね。」「そんなに難しくない。」今思うと安易ですね。
【助成金の提案、契約しない理由が無い】
助成金対応は不思議なビジネスです。提案したら断られる理由がない。従業員A様入社を例に、縦軸に、①キャリアアップ正社員化、②最賃UP前月の時給者昇給、③パート賞与規程追加、④パート健康診断制度導入等、横軸は2年程度のスケジュール。合計○○○万円受給想定。当時、着手金なし、受給時に御請求としていましたので、当然、断られる理由がない。 2015年頃のお話です。弊所はこれにより 2016年に初めて従業員を雇用します。
【他業者の助成金不正受給や 社労士法人様の急な廃業】
助成金不正受給の記事がネット記事で目に付くようになりました。また別件で、弊所の顧問先の事業所に電話営業で助成金申請を提案された社労士法人様がいらっしゃいましたが、急に廃業され混乱があったこともありました。
【諸先輩方は助成金対応のリスクを知っていた】
2015年から積極的に助成金を提案していたことで、顧客数は毎年増加しました。一方で、毎月数件の助成金対応期日に追われ、向こう2年間のスケジュール管理に追われ。手元には一人 100件程度の助成金申請予定がありました。これがビジネスだと思い数年間は、不支給の不安やストレスより事業が安定にむかっている実感の方が強く「なぜ、諸先輩方は、助成金を積極的に扱わないのか、不思議」でした。
しかし、後に分かるのですが、諸先輩方は助成金対応にはリスクがあることを知っていたのです。
【従業員の退職、心理的な疲弊】
2019年、助成金申請件数が累計 1000件を超えたの頃、弊所で初めて顧客から助成金申請サービスの損害賠償請求がありました。数十万円支払いました。また、損害賠償請求にはなっておりませんが、不支給になったものは約 5% 50件程度。弊所は顧客との人間関係は非常に密です。この関係性にて、不支給の理由を説明、謝罪するすれば、損害賠償請求までには至らないことが殆どです。しかし、心理的な疲弊は変わらない。これが複数、同時に連鎖する。従業員は2年で退職。「こんなことをするために社労士になったわけではない。」転職されました。
【助成金管理機能の整理及び開発】
組織的な助成金管理を徹底しなければとしくみアレンジにて開発を行いました。助成金申請登録を行えば、必要なタイミングで社内担当者通知が届き、申請漏れを無くす。自分が担当している申請を確認しやすくする。等様々工夫を施しました。管理は充実していきました。これで管理は大丈夫と感じた時期もあります。
しかし、就業規則の解釈の違い等で発生する「不支給リスク」は、事前に労働局へ確認しても「審査してみないと分からない」と言われることが多く、どうしても避けられないリスクが存在します。
【助成金申請サービス停止、そして現在】
弊所ではその避けられないリスクをうまくコントロールすることができませんでした。 5年間で社労士 4人雇用しましたが、内 3人退職。助成金申請サービスは 2020年までは売上の 30%担っておりましたが、2021年 20%、2022年 10%と順に減らし、2023年年末に助成金申請停止の通知を顧問契約先に送付しました。助成金申請前提で顧問契約をされていた事業所様も多数いましたので、本当に、本当にどうなるか不安がありましたが、 2025年を無事迎えております。
弊所はこの状況ですが、しくみアレンジ助成金管理機能については試行錯誤を繰り返し、充実させています。リスクをうまくコンロールできなかった弊所においては、顧客との人間関係の親密さが、助成金不支給時のストレスを増加させていると分析しております。不支給も当然起きるものとして、ビジネスライク助成金申請ができると社労士業においての助成金申請サービスは大きな武器となるのは間違いないことだろうと想像しております。機会がございましたら、うまくコントロールされている諸先輩方、ご指導いただけると幸いです。何卒よろしくお願い申し上げます。